モル
モル mole |
|
---|---|
記号 | mol |
系 | 国際単位系 (SI) |
種類 | 基本単位 |
量 | カジノ 方法 |
定義 | 6.022140 76 ×1023 (アボガドロ定数) の要素粒子又は要素粒子の集合体(組成が明確にされたものに限る)で構成された系のカジノ 方法 [1] [2] |
由来 | その物質の分子量の数字にグラムをつけた質量に含まれるカジノ 方法 |
語源 | ドイツ語 Molekül(分子) |
モル(
名称、記号 [ 編集 ]
名称は仏語・英語ともに、mole であり、日本語名称は「モル」である。これはドイツ語のMolekül(仏語ではmolécule、英語では molecule。ともに 「分子」 の意)に由来する。
モルを表す単位記号は、mol である
定義 [ 編集 ]
「モル」の定義は以下である(第26回国際度量衡総会の決定および国際単位系国際文書第9版(2019) [7] )。
計量法(計量単位令)ではSIでの定義とは異なり、下記のように簡潔な定義となっている。
アボガドロ定数 [ 編集 ]
モルを定義することで、カジノ 方法と要素粒子の数を結ぶ普遍定数が定義され、その値を決定することができる。この普遍定数がアボガドロ定数である。 1 モルに含まれる構成要素の数をアボガドロ定数という。アボガドロ定数を表す記号は N A または L が用いられる [9] 。 ある試料に含まれる要素粒子 X のカジノ 方法 n (X ) は、要素粒子の個数 N (X ) と以下の関係で結ばれる。
カジノ 方法 n (X ) の単位は mol であり、個数 N (X ) は無次元量であるため、アボガドロ定数は mol−1 となる。
歴史 [ 編集 ]
モルは本来は、全ての物質は分子よりできているとの考えの元に、その物質の分子量の数字にグラムをつけた質量に含まれるカジノ 方法を 1 モルと定義した。例えば酸素分子の分子量は 32.0 なので、1 mol の酸素分子は 32.0 g となる。カジノ 方法という概念は19世紀の近代化学発祥のころから使われているものであり、この単位は当初はグラム原子、グラム分子などと呼ばれていた。
しかし、イオン結合や金属結合には分子と呼べるものがないことがわかり、共有結合の場合でも単純な分子が存在しないものがあることもわかってきた。そこで、物質を表す化学式で示される元素の原子量の和を化学式量と呼び、それにグラムをつけた質量に含まれるカジノ 方法を 1 mol と定義することとした。これにより、1 mol の塩化ナトリウムは 58.5 g、
1 モルに含まれる要素粒子の数は、要素粒子の種類にかかわらず一定であって、
6.022140
76
×1023
個である
[10]
。この数を「アボガドロ数」という。アボガドロ数は、前記のように24桁の
また 1 モルの理想気体は、標準状態 (STP: standard temperature and pressure) では同じ体積(約 22.413969 54 L(リットル))を占める [11] 。このように、モルは化学の分野では基本となる重要な単位である。
1913年頃から、原子の中には 質量数の異なる数種の原子(同位体)があることがわかってきた。長年、モルの定義には酸素分子を使用し、酸素分子 32 g を 1 mol としてきたが、酸素原子には天然のものでも質量数 16 のほか 17, 18 のものがあることがわかった。すなわち、それまでは質量数 16, 17, 18 の酸素原子が混ざった状態のものでモルを定義していたことになる。それがわかってから、物理学の分野では質量数 16 の酸素だけを分離して(完全に分離するのは困難なので、分離できたと仮想して)、質量数 16 の酸素による酸素分子 32 g のカジノ 方法を 1 mol と再定義した。しかし、化学者たちはそれまで通りのモルの定義を使い続けた。
物理学と化学とで異なるモルを使い続けるのは不都合があるため、1960年に国際純粋・応用物理学連合
(IUPAP) と国際純正・応用化学連合
(IUPAC) が協議して、共通的に炭素12に原子量 12 の値を与えることとした。ここから、1 mol は 12 g の炭素12のカジノ 方法という旧定義が導き出せる。炭素12が選ばれたのは、これが天然の
モルをSI基本単位とすることおよびその定義は、1971年の国際度量衡総会 (CGPM) で採択された [12] 。
1980年に国際度量衡委員会(CIPM)により以下の補則が加えられていた。これはモルの定義の一部であった [9] 。
:補則:この定義の中で、炭素12は結合しておらず、静止しており、基底状態にあるものを基準とすることが想定されている。
2019年5月20日からアボガドロ定数を定義値とする現行の定義になった。
この定義により、モルはキログラムの定義に依存しないものになった。 なお、新定義では、アボガドロ定数を正確に 6.022140 76 ×1023 /molとすることによりモルを定義したので、1モルの炭素12の質量は、12 gではなくなり、 11.999999 995 8(36) gという実験値となった [13] 。
日本の法令上は、計量法第3条の規定 [14] に基づく計量単位令(平成4年政令第357号)が、計量単位令の一部を改正する政令(令和元年5月17日政令第6号)により改正され、2019年5月20日に施行することにより変更された。
批判 [ 編集 ]
1971年にモルが国際単位系に採用されて以来、モルをメートルや秒と同等の単位として扱うことに対する多くの批判が生じている。
- 所与の量の物質に含まれる分子の数は固定の無次元量であり、明確な基本単位を必要とせず、単純に数として表現することができる [15] [16] 。
- モルは、時代遅れの連続体的な物質の概念(完全な原子論的ではない)に基づいている [17] 。
- SIにおける熱力学的モルは分析化学とは無関係であり、先進経済に回避可能なコストをもたらす可能性がある
[18] 。 - モルは真の計量単位というより「パラメトリック」な単位であり、カジノ 方法は「パラメトリック」な基本量である [19] 。
- SIでは、実体の数を次元「1」の量として定義しており、「実体」と「連続量の単位」の間の存在論的な区別を無視している [20] 。
符号位置 [ 編集 ]
記号 | Unicode |
|
文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
㏖ |
U+33D6
|
-
|
㏖
㏖
|
モル |
Unicodeには、モルを表す上記の文字が収録されている。これはCJK互換用文字であり、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであるので、使用は推奨されない [21] [22] 。
脚注 [ 編集 ]
注釈 [ 編集 ]
- ^ 国際単位系における正式の言語はフランス語である。ここでの定義は英語及びこれを日本語に翻訳したものである。正式な本文の確認が必要な場合又は文章の解釈に疑義がある場合はフランス語版を確認する必要がある。
出典 [ 編集 ]
- ^ a b 計量単位令 別表第1、項番6、カジノ 方法の欄
- ^ a b 改正案、別表第一(第二条関係)、「六 カジノ 方法 モル」の欄
-
^
<
pp.56-57、
産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月 - ^ 計量単位規則 別表第2、カジノ 方法の欄
- ^ Wilhelm Ostwald (1893). Hand- und Hilfsbuch zur Ausführung Physiko-Chemischer Messungen . Verlag von Wilhelm Engelmann, Leipzig.. p. 119
- ^ pp.139-140、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月
- ^ p.98、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月
- ^ p.102、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年3月
- ^ a b 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006)、p. 26、2.1.1.6 カジノ 方法の単位(モル)。
- ^ Avogadro constant CODATA2014
- ^ molar volume of ideal gas (273.15 K, 101.325 kPa) The NIST Reference on Constants, Units, and Uncertainty. US National Institute of Standards and Technology. 2019-05-20. 2018 CODATA recommended values
- ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006)、p. 20。
- ^ molar mass of carbon-12 The NIST Reference on Constants, Units, and Uncertainty. US National Institute of Standards and Technology. 2019-05-20. 2018 CODATA recommended values
- ^ 第三条 前条第一項第一号に掲げる物象の状態の量のうち別表第一の上欄に掲げるものの計量単位は、同表の下欄に掲げるとおりとし、その定義は、国際度量衡総会の決議その他の計量単位に関する国際的な決定及び慣行に従い、政令で定める。
- ^ de Bièvre, Paul; Peiser, H. Steffen (1992). . Pure and Applied Chemistry 64 (10): 1535–43. doi:10.1351/pac199264101535 .
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-
^ Schmidt-Rohr, K. (2020). "Analysis of Two Definitions of the Mole That Are in Simultaneous Use, and Their Surprising Consequences" J. Chem. Educ. 97: 597-602, doi:10.1021/acs.jchemed.9b00467 - ^ Price, Gary (2010). “Failures of the global measurement system. Part 1: the case of chemistry”. Accreditation and Quality Assurance 15 (7): 421–427. doi:10.1007/s00769-010-0655-z. [1].
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“
The Unicode Standard, Version 8.0.0”. Mountain View, CA: The Unicode Consortium (2015年). 2016年2月21日閲覧。
参考文献 [ 編集 ]
- BIPM 著、産業技術総合研究所 計量標準総合センター 訳『国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版』産業技術総合研究所 計量標準総合センター、2020年3月。
- [3] 計量単位令. e-GOV. (1992)