防空
防空(ぼうくう、英語: Air defense)とは、攻撃してくる航空機やミサイルの破壊、ないしその効果の低減・無効化を目的とした防衛手段 [1] 。アメリカ空軍では、対空戦における 防勢作戦の一部と位置付けている [1] [注 1] 。
国土防空 [ 編集 ]
経空脅威の撃墜には、発見・捕捉・追尾・撃破の4段階のステップを踏むことになる
[2]
。第一次世界大戦では
航空自衛隊では領空の外側に防空識別圏(JADIZ)を設定し、1958年より戦闘機の警戒待機(アラート)を開始して、必要に応じて
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SAGEの管制室
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発射機上のナイキ・エイジャックス
野戦防空 [ 編集 ]
理想的な防空システムを完成させるには、前後(縦深)と上下(高度差)方向に何層もの防空網を配置することが望ましい
[13]
。アメリカ陸軍では、最前線(FLOT)付近はアベンジャーシステムなどを保有する短距離防空(SHORAD)部隊、その後方の支援地域などはパトリオットミサイルなどを保有する高・中高度防空 (
HIMAD
)部隊が分担するという二段構えであるのに対し
[14]
、ソビエト連邦軍では、MANPADSと長射程SAMの間にも、9K33(SA-8)や9K37(SA-11)など短・中射程のSAMを重層的に配備していた
[13]
。これらの対空兵器は専門の部隊によって運用されるが、歩兵部隊なども自衛用としてMANPADSを保有する場合もあるほか、状況によっては小火器による対空射撃も行われる
またアメリカ陸軍・海兵隊では、これらの能動的措置のほか、擬装や掩蔽などといった受動的措置も防空に含めている
[16]
[17]
[注 1]
。
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無線機からの情報によりスティンガーを構える海兵隊員
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森林に潜伏する自走式SHORADシステム
洋上防空 [ 編集 ]
洋上において艦隊が経空脅威から自らを防護する場合、その艦艇自身の装備(艦載機を含む)を組み合わせて構築された防空体制が主体となっており、これを艦隊防空(fleet air defense)と称する [18] 。一方、艦載機の運用能力を持たない艦船に対して地上基地からの航空援護を提供することは早くから行われていたが、OTHレーダーや早期警戒管制機(AWACS)が登場すると、艦載機の運用能力を有する艦船に対しても、その行動圏外での防空を陸上機によって補完することが可能となっており、このような艦艇部隊の外部を含む大きな枠組みでの広域防空体制を洋上防空(maritime air defense)と称するようになった [18] 。
艦隊防空においては、航空機によるアウター・ディフェンス・ゾーン(outer defense zone)、艦艇装備の対空兵器を組織化して運用するエリア・ディフェンス・ゾーン(area defense zone)、各艦ごとに自らの対空兵器によって防空を行うポイント・ディフェンス・ゾーン(point defense zone)の3つのゾーンにわけて縦深防御が行われる
[18]
[19]
。第二次世界大戦後期のアメリカ海軍では、戦闘指揮所(CIC)を中核として艦上戦闘機や艦艇装備の対空兵器を組織化しての艦隊防空システムを構築した
その後、長射程の艦対空ミサイル(SAM)が実用化されるとこちらがエリア・ディフェンスの主役となった一方 [18] 、対艦ミサイル防御(ASMD)の必要性がクローズアップされるとポイント・ディフェンス用兵器にCIWSが加わった [19] 。また海軍戦術情報システム(NTDS)の導入など、システム化も進められた [19] 。
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射撃中のファランクスCIWS
脚注 [ 編集 ]
注釈 [ 編集 ]
出典 [ 編集 ]
- ^ a b c U.S. Airforce 2019, pp. 9–11.
- ^ Dunnigan 1992, pp. 186–188.
- ^ Hogg 1982, pp. 37–42.
- ^ Hogg 1982, pp. 68–78.
- ^ Hogg 1982, pp. 167–176.
- ^ a b Hogg 1982, pp. 151–161.
- ^ a b 航空幕僚gta5 オンライン カジノ レベル 2006, pp. 226–230.
- ^ 航空幕僚gta5 オンライン カジノ レベル 2006, pp. 154–159.
-
^
航空幕僚gta5 オンライン カジノ レベル 2006, pp. 489–495. - ^ 航空幕僚gta5 オンライン カジノ レベル 2006, pp. 560–562.
- ^ Hogg 1982, pp. 1–4.
-
^
Dunnigan 1992, pp. 188–190. - ^ a b Dunnigan 1992, pp. 190–192.
- ^ Department of the Army 2020, ch.1.
- ^ a b c McNab & Fowler 2003, pp. 160–165.
- ^ Headquarters Marine Corps 2018, ch.3.
- ^ Department of the Army 2020, ch.11.
- ^ a b c d 大賀 2022.
- ^ a b c d 香田 2016.
- ^ 吉田 1999.
参考文献 [ 編集 ]
-
Dunnigan, James F.「第8章 防空」『新・戦争のテクノロジー』岡芳輝 (訳)、河出書房新社、1992年(原著1988年)、185-201頁。
ISBN
978-4309241357。 - Department of the Army (December 2020),
- Headquarters Marine Corps (April 4, 2018),
-
Hogg, Ian V.『対空戦』陸上自衛隊高射学校
(翻訳)、
原書房、1982年(原著1978年)。 ISBN 978-4562012466。 - McNab, Chris、Fowler, Will『コンバット・バイブル―現代戦闘技術のすべて』小林朋則 (訳)、原書房、2003年(原著2002年)。 ISBN 978-4562036240。
- U.S. Airforce (September 6, 2019),
- 大賀良平「洋上防空と艦隊防空 (ヒストリー 海自防空戦)」『世界の艦船』第982号、海人社、106-111頁、2022年10月。 CRID 1520293578189983616。
- 香田洋二「艦隊防空 : 発達の足跡と今後 (特集 現代の艦隊防空)」『世界の艦船』第838号、海人社、69-77頁、2016年6月。 NAID 40020832532。
- 航空幕僚gta5 オンライン カジノ レベル 編『航空自衛隊50年史 : 美しき大空とともに』2006年。 NCID BA77547615。
- 吉田昭彦「攻勢作戦と守勢作戦--国家防衛政策、その作戦目標策定の見地から(上)」『波涛』第24巻、第6号、兵術同好会、60-76頁、1999年3月。NDLJP:2884803。
関連項目 [ 編集 ]
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国土防空
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民間防衛 - 灯火管制 - 防空監視隊 - 防空監視哨
- 日本本土空襲
- 空襲下の日本
- 攻撃機 - 電子戦 - 制空権
- ミサイル防衛#日本におけるミサイル防衛
- レーダー - ミサイル防衛 - 戦略防衛構想
- 未確認飛行物体
外部リンク [ 編集 ]
- アジア歴史資料センター(公式)(国立公文書館)※環境によっては表示できません。
- 大阪地裁・大阪高裁が認定した日本の防空法制
- 防空法について
- 『防空』 - コトバンク