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Brahms - Symphony No_4 - ジャナンドレア・ノセダ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。イスラエル・フィル公式YouTube。 | |
Brahms:Sinfonie Nr. 4 - ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団による演奏。NDR Klassik公式YouTube。 | |
Brahms:Symphonie n°4 - チョン・ミョンフン指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団による演奏。France Musique公式YouTube。 |
交響曲第4番ホ短調
作品98
(こうきょうきょくだい4ばんホたんちょうさくひん98、ドイツ語:
Sinfonie Nr. 4 in e-Moll op. 98
)は、第3交響曲完成の翌年1884年から1885年にかけてヨハネス・ブラームスが作曲した最後の交響曲。第2楽章でフリギア旋法を用い、終楽章にはバロック時代の
作曲の経緯 [ 編集 ]
1882年 1月、ブラームスは友人であり指揮者のハンス・フォン・ビューローに、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのカンタータ第150番『主よ、われ汝を仰ぎ望む』("Nach dir, Herr, verlanget mich"、BWV.150)の終曲「わが苦しみの日々を」("Meine Tage in dem Leide"、4小節のバス主題に基づくシャコンヌ)を示し、「この主題に基づく交響曲の楽章はどうだろう。もっとも、このままではごつすぎるので、手を加えなければならないだろうが」と述べたという。このことは、第3交響曲の作曲前から、すでに第4交響曲の終楽章の構想が芽生えていたことを示している。ブラームスがシャコンヌの手法を管弦楽作品に使った経験は、『ハイドンの主題による変奏曲』(1873年)の終曲にその例があった。
1884年、51歳のブラームスはウィーン南西にある ミュルツツーシュラークで夏を過ごし、そこで第4交響曲の作曲に取りかかった。この年には前半の2楽章を完成させ、翌1885年に残りの2楽章を完成させている。
1885年9月、ブラームスのピアノの弟子であり、良い相談相手でもあったエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクに第1楽章の楽譜を送って意見を乞うた。ヘルツォーゲンベルク夫人は、その返事で、作品の深みや統一性を称えつつ、「一般の善良な聴衆の耳よりも、分析的な専門家の『目』に訴えるのではないか」と、技法が複雑すぎることへの懸念も示した。
同年10月8日、ブラームスは初演に先立ち、ウィーンで友人たちを招き、イグナーツ・ブリュルとともにこの曲の2台のピアノ編曲版を弾いて試演した。ブリュルとの試演会は、第2交響曲以来の恒例となっていた。伝記作家の
初演後の
初演とその評価 [ 編集 ]
1885年10月25日、ブラームス自身の指揮、マイニンゲン宮廷管弦楽団によって初演された。初演では、各楽章ごとに長い拍手が起こり、第3楽章はその場で直ちにアンコールされ、全曲終了後はマイニンゲン公ゲオルク2世の求めに応じて第1楽章と第3楽章をもう一度演奏したという。翌週にはハンス・フォン・ビューローの指揮でも演奏された。ブラームスは、11月からの同楽団の演奏旅行でドイツとオランダの各都市を回って演奏した。
ブラームスの友人たちもとまどったように、一見してわかる手法の古めかしさについては、「後向き」の態度ととる批判者もあった。当時ワーグナー派で、ブラームス批判の先頭に立っていた
日本初演は1929年(昭和4年)6月8日、東京・上野公園に所在する東京音楽学校(現・東京芸術大学 音楽学部)の 奏楽堂に於いて、当時同学校の教員を務めていたチャーレス・ラウトロプの指揮により行われた [6] 。
楽器編成 [ 編集 ]
ピッコロ(2番フルート持ち替え)、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、
楽曲構成 [ 編集 ]
第1楽章 Allegro non troppo [ 編集 ]
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第1楽章 Allegro non troppo |
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1st Movement
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佐渡裕指揮 |
ホ短調。2/2拍子。ソナタ形式。ヴァイオリンが休符を挟んで切れ切れに歌う第1主題によって開始される。この主題は3度下降の連続、その後6度上昇の連続という動機から成り立ち、哀切な表情を湛えている(最初の8音は三度の下降分散和音に還元できる)。それが
第2楽章 Andante moderato [ 編集 ]
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第2楽章 Andante moderato |
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2nd Movement - 佐渡裕指揮兵庫芸術文化センター管弦楽団による演奏。兵庫芸術文化センター管弦楽団公式YouTube。 |
ホ長調。6/8拍子。展開部を欠いたソナタ形式。ホルン、そして木管が鐘の音を模したような動機を吹く。これは、ホ音を中心とするフリギア旋法である。弦がピチカートを刻む上に、この動機に基づく第1主題が木管で奏される。これも聴き手に古びた印象を与える。ヴァイオリンが第1主題を変奏すると、三連音の動機でいったん盛り上がり、静まったところでチェロがロ長調の第2主題を歌う。単純明快な旋律だが、弦の各パートが対位法的に絡み、非常に美しい。再現部はより劇的に変化し、第2主題の再現は、8声部(第1・第2ヴァイオリンとヴィオラがディヴィジする)に分かれた弦楽合奏による重厚なものとなる。最後にフリギア旋法によるホルン主題が還ってきて締めくくられる。
第3楽章 Allegro giocoso [ 編集 ]
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第3楽章 Allegro giocoso |
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3rd Movement - 佐渡裕指揮兵庫芸術文化センター管弦楽団による演奏。兵庫芸術文化センター管弦楽団公式YouTube。 |
ハ長調。2/4拍子。ソナタ形式。過去3曲の交響曲の第3楽章で、ブラームスは間奏曲風の比較的穏やかな音楽を用いてきたが、第4番では初めてスケルツォ的な楽章とした(ただし、3拍子系が多い通常のスケルツォと異なり、2/4拍子である)。
冒頭、第1主題が豪快に奏される。一連の動機が次々に示され、快活だがせわしない印象もある。ヴァイオリンによる第2主題はト長調、やや落ち着いた表情のもの。展開部では第1主題を扱い、トライアングルが活躍する。ホルンが嬰ハ長調でこの主題を変奏し、穏やかになるが、突如、第1主題の途中から回帰して再現部となる。コーダでは、ティンパニ(全交響曲中この曲のこの楽章と第4楽章では3台使用、通常は2台)の連打の中を各楽器が第1主題の動機を掛け合い、大きな振幅で最高潮に達する。
第4楽章 Allegro energico e passionato [ 編集 ]
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第4楽章 Allegro energico e passionato |
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4th Movement - 佐渡裕指揮兵庫芸術文化センター管弦楽団による演奏。兵庫芸術文化センター管弦楽団公式YouTube。 |
ホ短調。3/4拍子。バスの不変主題の上に、自由に和音と旋律を重ねるシャコンヌ(一種の変奏曲)。管楽器で提示されるこのシャコンヌ主題は8小節で、先に述べたとおり、バッハのカンタータから着想されたといわれる。楽章全体はこの主題と30の変奏及びコーダからなる。解釈上いくつかの区分けが考えられるが、ここでは、30の変奏をソナタ形式に当てはめた解釈によって記述する。
- シャコンヌ主題 主音から出発して属音まで6つ上昇、オクターブ下降して主音に戻るという、E-F♯-G-A-A♯-B↑-B↓-Eの8つの音符からなる(上記のバッハの主題とは、A♯以外一致する)。注目すべきことに、シャコンヌ(またはパッサカリア)の通例とは異なり、旋律主題がバスではなく高音域に置かれている。IV度の和音に始まり、和声進行は定型通りではなく、属和音も5度音が下方変位させてあり、最後の和音は長調となるピカルディー終止。
- 提示部-第1-15変奏
- 展開部-第16-23変奏 第16変奏で冒頭のシャコンヌ主題が再現し(和声付けは異なる)、ここから後半部にはいる。第23変奏で再びシャコンヌ主題の形がはっきり現れてくる。
- 再現部-第24-30変奏 第24変奏から第26変奏までは、第1変奏から第3変奏までの再現で、より劇的。最後の2つの変奏(第29及び第30変奏)では下降3度音程の連続によって、第1楽章第1主題が暗示される。ブラームス自身によるピアノ4手(2台ではなく1台)連弾編曲版のみTempoIが置かれ、冒頭のテンポに戻される。
- コーダ ピウ・アレグロに速度を速め、さらに緊張を高めて劇的に終結する。
脚注 [ 編集 ]
- ^ 第4楽章の「シャコンヌ」は、パッサカリアともいうが、両者の使い分けは人によって異なり、明確に使い分けることは困難である。ブラームスがシャコンヌという呼び方を好んでいたという説を採って、この項ではシャコンヌを用いる。一説には、低音が変化しないが和音が変化するものをパッサカリア、和音も変化しないのがシャコンヌであるという。それに従えば、この終曲はパッサカリアである。
- ^ 自筆譜第1楽章最終ページの終止線の後に4小節加筆したあと斜線で消去している。
- ^ “JOHANNES BRAHMS Symphony No.4 in E Minor, Op.98. Facsimile Edition of the Autograph Score in the Possession of the Allgemeine Musikgesellschaft Zürich Introduction by Günther Birkner”. OMI - Old Manuscripts & Incunabula. 2017年12月11日閲覧。
- ^ この削除された冒頭4小節を含めた版は、トーマス・ヘンゲルブロック指揮、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団によって2016年5月22日に演奏された。
- ^ “Brahms-Marathon: Sinfonie Nr. 4”. NDR. 2017年12月11日閲覧。
-
^
飯村諭吉「昭和初期におけるヨハネス・ブラームスの交響曲の紹介方法 : 新交響楽団の機関紙における曲目解説に着目して」『音楽表現学』第19巻、日本音楽表現学会、2021年11月、2頁、doi:10.34353/jmes.19.0_1、
ISSN
1348-9038、 CRID 1390857226420504064、 2023年6月19日閲覧。
引用 [ 編集 ]
外部リンク [ 編集 ]
- 交響曲第4番の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- ブラームスの交響曲第4番の総譜 (HTML) - IUDLP: The Indiana University Digital Library Program
- Symphony no.4 in E Minor, Op.98 - 『Musopen』より
- Symphony No.4 in E Minor Op.98 - 『Free-scores.com』より
- 『Leon Levy Digital Archives』(ニューヨーク・フィル公式)より
- Brahms, Johannes/SYMPHONY NO.4 IN E MINOR, OP.98 - Score and Parts (ID:5275) - 1939~40年にバルビローリが実際に使用した楽譜一式。ブライトコプフ・ウント・ヘルテル発行版。
- Brahms, Johannes/SYMPHONY NO.4 IN E MINOR, OP.98 - Score (ID:6001) - 総譜のみ。ジムロック発行版。以前は前出「ID:5275」と同じ場所に収蔵されていた。
- バーンスタインが実際に使用した総譜およびパート譜
- Symphony No.4 in E minor, Op.98 - 『AllMusic』より《ディスコグラフィ一覧有り》
- Sinfonia n°4 in Mi minore, Op.98 (イタリア語) - 『Liber Liber』より《トスカニーニ指揮NBC響による演奏音源(1951年収録)を掲載》
-
Sinfonia in mi minore n.4 op.98
(イタリア語)
- 『Magazzini Sonori』より《
アルトゥーロ・トスカニーニ・フィルによる演奏音源(2006年11月に収録)》 -
BRAHMS:Symphony No.4
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インターネットアーカイブより《
クーセヴィツキー指揮ボストン響による演奏音源(1938年収録)を掲載;楽章毎分割》